YouTubeでOTYKENを知ってもうずいぶんになるけど、このバンドをどのように扱っていいのかわからなくて、長らく自分だけのお気に入りとして、定期的に視聴してきた。
私が初めてOTYKENに出会ったのが、GENESISという曲だった。
一体、なにもの?
なんか衣装とか見るとアイヌ的雰囲気もある、遠い昔には彼らとも関連のある(枝分かれした)北方モンゴル系? でも騎馬民族(朝青龍)系とも違うよなあと感じた。
「おー、あれって精霊の仮面をかぶっているのか?、ビジュアルもカッケーなあ」と思ったのだった(おそらく彼がアンドレイ・メドノス?)。
というのが最初の感想で、しかもこの「民族言語で歌われる奇妙な曲」は、最後まで聴かせてしまう不思議な魅力に溢れていたので、続いて、次をポチりたいと思ってしまったのだった。
それが以下のLEGENDという曲だった。
いよいよ、「こいつあただならぬバンドじゃん」と思って、例によって検索開始。当然、まずは日本国内の認知状況から入ったわけだが、ほとんど情報がない。
それで英語圏のwikipediaに飛んだら、ちゃんと記事があった。
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オティケンのメンバーはチュリム族、ケト族、ハカス族、ドルガン族、セルクプ族であり、これらの民族はアイヌやアメリカ先住民と関連している可能性があります。メンバーは全員、パセチノエ村近くの小さな集落出身の地元の人材です。そこでは医薬品や電気へのアクセスが難しく、食料は漁業、狩猟、採餌、農業、養蜂を通じて地元で得られています。 その結果、グループのメンバーは、特にコンサートが中止になる夏の間、地域で働き、家族を助けるなど、バンドの外でも多忙な生活を続けています。グループの主なメンバーは約 10 人ですが、各人の空き状況に応じて、コンサートに参加する人は少なくなる傾向があります。出演者の中には(アハを除いて)専門的に音楽の訓練を受けた者はいなかったが、シベリア先住民の多くは家庭で民謡や楽器を演奏する習慣があり、音楽の才能を持っている。
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彼女たちは国籍的にはロシア人で、民族的には北方シベリア人の少数民族に属しているということだ。
日本のJ-POPのようにAメロBメロサビの永久運動みたいな古びた定型とは無縁の「構成的にもユニークな無国籍感タップリの音楽」を民族的土台から再構築して演奏している。日本でこういうアプローチに成功していると思えるものは少ない。劇場版「攻殻機動隊」のテーマくらいだろうか。ロシア語ではなく民族言語を使って歌われているとはいえ、彼女たちがやっているのは「伝統音楽」ではまったくない、ということも言っておきたい。
世界の音楽潮流にとってのオルタナ的展開である。
彼女たちの活動が、アメリカ先住民の多くがシベリア系民族の音楽をよく聴きに来ていたことから(彼らに民族音楽を聴いてもらう)始まったことを思えば、今回の最新バージョンのGENESISのヴィジュアルがネイティヴ・アメリカン様式になったのも、奇妙なことではない。
詳しくはウィキペディアの記事を参照してもらいたいが、彼女たちが世に出たのは、彼女たちの村と家業の養蜂業を通じて知り合いになったアンドレイ・メドノス(白人系、奥さんがチュリム族)が後押しをしてくれたからだった。
この絵を見て、日本の「今どきの女子がコスプレしてる」感じをも受けちゃう、奇妙な視聴体験時間だった。たまたま今日の夕方、彼女たちの最新の更新動画を見たせいで、やっと記事の投稿をする気になったのだった(OTYKENについて書きたいとずっと思っていたので、今回達成できてよかった)。
アイヌについて政治的に語ることが好きな人(アイヌ利権側も批判側も)はここではほっておきたい。戦前金田一京助博士は、鈴鹿山脈以北にはアイヌの足跡が残っていると語っていたが、最近の政治的アイヌ論争では、金田一博士の言葉が引用された場面に出会ったことがない。
日本列島の南方と北方は入れ墨文化があって、その間に別の文化を持った種族が入ってきたようだ。古事記ではボディーガードの隼人族が目の周りに入れ墨をしているの見て、姫が驚いて「それは何なの?」と尋ねたというエピソードが出てくる。南方の諸島人たちは明治期まで女性も入れ墨をする文化があった。西郷さんが島流しされていたときの島女房の女性も入れ墨の入っている人で、薩摩人の文化とは異なっていた。
かつて暴走族の総長で、のちに役者として活躍することになる宇梶剛士はアイヌの血を受け継いでいる。私は彼の名字を聴いたとき、すぐに古事記に登場する兄弟の名前を連想した。
エウカシとオトウカシ
である。兄のウカシと弟のウカシ、という意味である。
だから、「ああ、宇梶さんて古事記にも登場してくるキャラの子孫なんだろうか」と思ったものである。まあ、これはあてにならない憶測である。
単に民族音楽ではなく、それを踏まえて他の音楽要素も取り入れる、そして「まったくの先祖文化に戻るのではなく、今の時流を超えて新生する活動」こそがオルタナであるのだよ。だから、これから生まれて来るものは「これまでになかった何か」でなければならない。
ということで、月最低2回は更新すると言っておきながら、さぼっていた更新をなんとか月の最終日にクリアできてよかったですよ。
P.S.
大昔「こころの旅 神ありて我あり 我ありて神あり」という題名のNHK番組があったのを思い出す。アイヌの芸能一家のドキュメンタリーだった。そういやあすこに出てきた女子たちもOTYKENと同じような髪の伸ばし方をしていたなあ。(ということで調べてみたら2001年11月4日にNHK教育で放送された番組だった。なんと22年前。VHSビデオに録画したものをDVDに焼き直して保存してた。改めて見直したけど、やっぱいいわ。)
近年、アイヌの音楽で話題になったものと言えば、Netflix版のドラマシリーズ『呪怨』のエンディングテーマとして使われたsonkaynoがあるね。
Sonkayno / MAREWREW
南方諸島系のおすすめ
朝崎郁恵 おぼくり~ええうみ
P.S.
1:40前後から出てくる縄というかロープをくるくる回しながら太鼓をたたく
シーンがすごくかっこいいねえ。エスニック四つ打ちミュージック。
私が初めてOTYKENに出会ったのが、GENESISという曲だった。
一体、なにもの?
なんか衣装とか見るとアイヌ的雰囲気もある、遠い昔には彼らとも関連のある(枝分かれした)北方モンゴル系? でも騎馬民族(朝青龍)系とも違うよなあと感じた。
「おー、あれって精霊の仮面をかぶっているのか?、ビジュアルもカッケーなあ」と思ったのだった(おそらく彼がアンドレイ・メドノス?)。
というのが最初の感想で、しかもこの「民族言語で歌われる奇妙な曲」は、最後まで聴かせてしまう不思議な魅力に溢れていたので、続いて、次をポチりたいと思ってしまったのだった。
それが以下のLEGENDという曲だった。
いよいよ、「こいつあただならぬバンドじゃん」と思って、例によって検索開始。当然、まずは日本国内の認知状況から入ったわけだが、ほとんど情報がない。
それで英語圏のwikipediaに飛んだら、ちゃんと記事があった。
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オティケンのメンバーはチュリム族、ケト族、ハカス族、ドルガン族、セルクプ族であり、これらの民族はアイヌやアメリカ先住民と関連している可能性があります。メンバーは全員、パセチノエ村近くの小さな集落出身の地元の人材です。そこでは医薬品や電気へのアクセスが難しく、食料は漁業、狩猟、採餌、農業、養蜂を通じて地元で得られています。 その結果、グループのメンバーは、特にコンサートが中止になる夏の間、地域で働き、家族を助けるなど、バンドの外でも多忙な生活を続けています。グループの主なメンバーは約 10 人ですが、各人の空き状況に応じて、コンサートに参加する人は少なくなる傾向があります。出演者の中には(アハを除いて)専門的に音楽の訓練を受けた者はいなかったが、シベリア先住民の多くは家庭で民謡や楽器を演奏する習慣があり、音楽の才能を持っている。
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彼女たちは国籍的にはロシア人で、民族的には北方シベリア人の少数民族に属しているということだ。
日本のJ-POPのようにAメロBメロサビの永久運動みたいな古びた定型とは無縁の「構成的にもユニークな無国籍感タップリの音楽」を民族的土台から再構築して演奏している。日本でこういうアプローチに成功していると思えるものは少ない。劇場版「攻殻機動隊」のテーマくらいだろうか。ロシア語ではなく民族言語を使って歌われているとはいえ、彼女たちがやっているのは「伝統音楽」ではまったくない、ということも言っておきたい。
世界の音楽潮流にとってのオルタナ的展開である。
彼女たちの活動が、アメリカ先住民の多くがシベリア系民族の音楽をよく聴きに来ていたことから(彼らに民族音楽を聴いてもらう)始まったことを思えば、今回の最新バージョンのGENESISのヴィジュアルがネイティヴ・アメリカン様式になったのも、奇妙なことではない。
詳しくはウィキペディアの記事を参照してもらいたいが、彼女たちが世に出たのは、彼女たちの村と家業の養蜂業を通じて知り合いになったアンドレイ・メドノス(白人系、奥さんがチュリム族)が後押しをしてくれたからだった。
この絵を見て、日本の「今どきの女子がコスプレしてる」感じをも受けちゃう、奇妙な視聴体験時間だった。たまたま今日の夕方、彼女たちの最新の更新動画を見たせいで、やっと記事の投稿をする気になったのだった(OTYKENについて書きたいとずっと思っていたので、今回達成できてよかった)。
アイヌについて政治的に語ることが好きな人(アイヌ利権側も批判側も)はここではほっておきたい。戦前金田一京助博士は、鈴鹿山脈以北にはアイヌの足跡が残っていると語っていたが、最近の政治的アイヌ論争では、金田一博士の言葉が引用された場面に出会ったことがない。
日本列島の南方と北方は入れ墨文化があって、その間に別の文化を持った種族が入ってきたようだ。古事記ではボディーガードの隼人族が目の周りに入れ墨をしているの見て、姫が驚いて「それは何なの?」と尋ねたというエピソードが出てくる。南方の諸島人たちは明治期まで女性も入れ墨をする文化があった。西郷さんが島流しされていたときの島女房の女性も入れ墨の入っている人で、薩摩人の文化とは異なっていた。
かつて暴走族の総長で、のちに役者として活躍することになる宇梶剛士はアイヌの血を受け継いでいる。私は彼の名字を聴いたとき、すぐに古事記に登場する兄弟の名前を連想した。
エウカシとオトウカシ
である。兄のウカシと弟のウカシ、という意味である。
だから、「ああ、宇梶さんて古事記にも登場してくるキャラの子孫なんだろうか」と思ったものである。まあ、これはあてにならない憶測である。
単に民族音楽ではなく、それを踏まえて他の音楽要素も取り入れる、そして「まったくの先祖文化に戻るのではなく、今の時流を超えて新生する活動」こそがオルタナであるのだよ。だから、これから生まれて来るものは「これまでになかった何か」でなければならない。
ということで、月最低2回は更新すると言っておきながら、さぼっていた更新をなんとか月の最終日にクリアできてよかったですよ。
P.S.
大昔「こころの旅 神ありて我あり 我ありて神あり」という題名のNHK番組があったのを思い出す。アイヌの芸能一家のドキュメンタリーだった。そういやあすこに出てきた女子たちもOTYKENと同じような髪の伸ばし方をしていたなあ。(ということで調べてみたら2001年11月4日にNHK教育で放送された番組だった。なんと22年前。VHSビデオに録画したものをDVDに焼き直して保存してた。改めて見直したけど、やっぱいいわ。)
近年、アイヌの音楽で話題になったものと言えば、Netflix版のドラマシリーズ『呪怨』のエンディングテーマとして使われたsonkaynoがあるね。
Sonkayno / MAREWREW
南方諸島系のおすすめ
朝崎郁恵 おぼくり~ええうみ
P.S.
1:40前後から出てくる縄というかロープをくるくる回しながら太鼓をたたく
シーンがすごくかっこいいねえ。エスニック四つ打ちミュージック。
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