-
前回の投稿の最後の方で、「すでに私は、シー・オリーナという名前を知る前に彼女のファンになっていた」と書いた。そのことに今年の6月に気づかされたのだった。
去年の10月、YouTubeで私は、CLANNという映像作家兼音楽家集団(カナダ人のマッキノン兄弟)の存在を知り、妖精女王とさまよえる騎士の交流を描いた短編映像が気に入って、その関連で以前に公開されていた三部作のサントラを自宅でよく聴いていたのだった。
彼らは「CLANN KIN Fables」と「CLANN Seelie」という二枚のアルバムを出していた。
Seelie(シーリー)は古語で、もともと古代には「陽気な」というような意味で使われていたが、この単語はsilly(馬鹿げだ)の語源であるという解説も検索の過程で見た。
短編映画「CLANN - KIN Fables: The Stolen Child」
この映画は日本語字幕で見ることができる。字幕アイコンをクリックするとなぜか英語ではなくロシア語が出てくる。けれどここでがっかりせずに設定アイコンをクリックしてロシア語>>日本語を選択すると、ロシア語が日本語になるので、これで会話を日本語で理解しながら視聴することができるようになる。
もちろん、彼ら(マッキノン兄弟)のことはシー・オリーナ同様、日本ではまったく知られていないも同然だった(ちなみに騎士を演じているのは監督のセブ・マッキノン自身だ)。だから彼らの情報を得たかったら、英語圏のウェブサイトに飛んで調べるしかなかった。
weblioで調べると、英語のCLANという単語は
(スコットランド高地人の)氏族、一族、一門、閥、族、一味、大家族
と出てくる。源氏とか平氏と織田家、武田家の集団を指すときに使われる英単語でもある。
Nが一個増えているCLANNは、アイルランドの古い言語から取られたもので「家族」を意味すると、〈彼ら〉は、自分たちの管理しているウェブサイトで説明していた。
6月下旬に改めてCLANNのウェブサイトを訪れて、アルバム紹介ページに出ている英文をつらつら眺めていたら、「the signature ethereal vocals of Charlotte Oleena」という部分に目が止まった。
えっ、Oleena?
この説明に出てくるOleenaはSea Oleenaと関係があるのだろうか、と思った私はCharlotte Oleenaで検索をかけてみた。すると、
Charlotte Oleena、bka Sea Oleena,(シー・オリーナことシャーロット・オリーナ)
という表現が出てくるページがあった。
それで「あ、CLANNのアルバムでボーカルを担当していたのは、シー・オリーナだったんだ」と愕然となったわけである。
アルバム紹介ページをchromeのウェブ翻訳にかけると「シャーロット・オレナの特徴的な幽玄なボーカル」という訳が現れたことにもはっとしたのだった。
かつてchou chou(シュシュ)のことを勝手に幽玄(幽界)系と名付けていた私だったが、ethereal(エーテル的)に対するクロームの訳語が「幽玄な」となっていた偶然に驚いた。
「シャーロット・オレナのエーテル的ボーカル」という訳になっていてもよかったのだが、「幽玄」なら通じても、秘教用語の「エーテル」ではイメージが通じない日本人はたくさんいるだろう。
だからまあ順当な訳語だろうとは思ったが、逆に英語圏では音楽批評として「エーテル的」が普通に流通してんだろうか、と「それって、どういうことなんだろう」と思ったのだった(そもそもわれわれが今オンラインに入るときに使っている、英語でいうところのイーサネットって、本来の日本語対訳で言い変えるとエーテルネットだからね、と誰かに突っ込まれそう。今は廃れて廃棄された化学用語としてのエーテルではなくて、世界をつなぐ通信技術用語として「エーテル」(ギリシャ神話の方へ接続する)を用いようと思ったエンジニアたちがいたわけだ。このコテコテのアーリマン的技術に秘教用語をあてがったというのが興味深いよねえ)。
英語圏では彼女はetherealだとかairyだとか言われているようだった。
日本仕様の紙ジャケCDを手に入れて裏表紙を見たとき、並んだ曲名の末尾に曲名よりも小さな文字でCharlotte losethという名前が印刷されているのに気が付いた。「あれ?Sea Oleenaじゃないの?」
それでYouTubeでこの名前を検索したら、以下のような動画が見つかった。
そして改めてウェブ上でCharlotte losethを検索したら、シャーロット・ロセスはシー・オリーナ名義でアルバムを出す以前に用いていた名前だったことが判明した。
2010年 Sea Oleena
2011年 Sleeplessness
2014年 Shallow
2015年 KIN Fables(CLANN)
2017年 Seelie(CLANN)
2020年 Weaving a basket
2021年 untethering(シングル)
最初、Charlotte loseth名義でSea Oleenaという「題名」のアルバムを出し、それが今度は彼女の「活動名」になってしまったというのが真相のようだ。
そういうわけで私はSea Oleenaの4枚のアルバムに加えてCLANNにおける彼女の仕事も一連の主要な活動として編入して扱うことにしたのだった。
「Untethering」は「Weaving a basket」制作時期の作品である旨を検索情報で得たので、私は、編集で「Weaving a basket」の8曲目の追加曲として同じホルダーに入れて聴いている。
アマゾンのSea Oleenaのページを見ると「feat.Sea Oleena」というクレジットのある楽曲が複数出てくるが、彼女は請われていろんな方面に出かけて行って、彼らのアルバム作りをボーカルで手伝っていた人でもあった。
日本のリスナーの間でも彼女の知名度が上がって、たくさんのファンができればいいなあ、と思ってますよ。PR -
6月もっともたくさん聴いていたのがSea Oleenaだった。
とりあえず英語表記から始めたのは、このカナダ人ミュージシャンは、日本では、ほとんどまったく、と言っていいほど認知されていないからだ(つまり「決まったカタカナ表記」が日本人一般に共有されている状態にはなっていないのだった)。
とはいえ、日本のアマゾンでは、シー・オリーナという表記が当てられたページがあるので、日本のリスナーとまったく無縁な人というわけでもなさそうだ(とはいえ評価コメントは英文ばかりだが)。
日本では、彼女のファーストとセカンドの中身を一枚に収めたCDが販売されているが、その販売を請け負っている日本側の代理店は「シー・オリーナ」という名前で販売しているので、この表記に従えばいいのかもしれないが、伝統的に案外いい加減なのが日本側の対応なので、少しだけ自分の中に保留部分は設けておきたいのだった。
YouTubeで「Hi,I'm Sea Oleena」などと言っている動画に行き当たることができれば、その発音に沿って実際の英語の音が分かり、それから自分なりに日本語化(カタカナ化)できるんだけれども、活字をウェブ上で日本語翻訳にかけると、オレナかオレーナのどちらかが出てくるので、頭が混乱する。
WeblioでOleenaを調べると、ちゃんとした回答が出てこない。本来の表記はOlenaらしい。しかももともとは現在ホットな話題を世界に提供し続けているウクライナ人が使う名前らしい。Olenaにもうひとつeを加えてOleenaと表記して自分の音楽活動用の名前としているようだ。
2010年以来、彼女はSea Oleena名義のアルバムを4枚発表しているが、私の一番のお気に入りは2020年発表の「Weaving a basket」(籠を編む)
2013年に、彼女の2010年(「Sea Oleena」first)と2011年(「Sleeplessness」second)のアルバムを一緒に収めた「日本仕様」のアルバムが販売されている(手に入れた紙ジャケの裏表紙を見ると「printed In Taiwan」と印刷されている。えっ、日本版を台湾で作ったの?と思ったのだった)。
現在彼女は頭髪を長く伸ばしているようだけど、YouTubeでたまたま遭遇した「なんかおもしろいな」と思った動画では、彼女は坊主ヘアーで、屋外でエレキギターをエフェクター(Boss Loop Station RC-20XL)につないで歌を歌っていた。
私が彼女に興味を持ち、突っ込んで調べようと思い始めたのは、この動画のせいだった。
それでYouTubeで視聴できる曲をかたっぱしから見るようになって、すっかりファンになってしまった。
「おー、いいじゃん、シー・オリーナ」……以前、このブログでルドルフ・シュタイナーの『悪の秘儀』におけるルシファーとアーリマンの属性の対比まで引用して(その宇宙の2大フォースを相手に「フォースにバランスをもたらす者」としてのキリスト属性についてのシュタイナーの言及は省略しちゃったけど)大プッシュ記事を書いたchou chou(シュシュ)と同じ「幽玄系」だよなあ、と思いながらつい最近まで暮らしていたのだった。
ところが、私はすでに去年の時点で彼女の大ファンになっており、去年から最近までずっと入眠用御用達アルバムとして彼女の声を聴きながら過ごしていたことに最近までまったく気づかずにいたのだった。しかも彼女は私が知っている範囲で三つの名前を持って活動していたことが分かって、「おもしれなあ、シー・オリーナ」と思ってしまったのだったが、その話は次回に回そうと思う。
次回へ続く。 -
私、最後にYouTubeに動画をあげたのが、今年の2月じゃないですか。一時期はクチパク素材作成とかにも凝ったことがあったのですが、言葉が降りてこないというか、やる気が起こらないので何も始められないんですよねえ。
まあ人智学の光を当てることによって明らかになったキリスト教の秘教的核心部分はすでに語っちゃったので(YouTubeでもBlogでも)、落穂拾いみたいなもんになるしかないということもあります。
あとは「自分自身でそれを確認できるようになる(=秘儀参入者になる)」ということがシュタイナーが読者(修行志願者)に求めたことであって、それが分かった人は、あとは黙って延々と密やかなる修行の日々を、この世を去るその日がくるまで続ければいいだけの話ですからねえ。
人類は、あるいはこの私は(この場合は今自分が関わっているペルソナですが)生き残れるか、とかそんな話じゃないんですよ。なぜそんなことが重要なんでしょう。でも多くの人はこのペルソナを救ってほしい(気持ちよくしてほしい)のですよねえ。そして「きもちくしてくれてありがとう」と詐欺師たちにお布施を気前よく渡します。
たとい、今世で秘儀参入体験のかすかな手がかりのようなものにさえ出会えないかもしれないとしても、「この意思を死ぬまで保っていこう」と思うことはできるし、またそのように死の直前まで自分の生き方を維持して行けたなら、それでいいじゃないですか。
来世ではまた別の道具(ルシファーの作品としてのペルソナ)に接続させられますが、そのペルソナを〈この世に落ちている私〉の天界回帰の〈道具=助け手〉として、以前の人生で企図したことの続きをやるんですよ。
----------------------------------------------------------------------------------------------
さて、前々回の投稿で『草野球』に熱中して以来、いまだにこのゲームへの関心が途切れない私であります。その証拠が以下の写真。
それぞれのチームのピッチャーのクセを調べながら、今ではその調査結果を参照しながら、投球の組み立てしながらゲームするモードに入っております。
そばに自陣になった各ピッチャーの球筋のノートを置いて、いろいろ試しながら、気が付いたことがあったら、さらに書き込むというようなことをしながら、遊んでます。
以下対戦結果です。あわせて終了後に時々出現する4種類のグラフィクスのデータも入れてます。
今は第二クール(自陣先行モード)に入ったばかりです。この調子で凝り始めたら、リーグ優勝決定はもちろん、120試合消化後の各選手の打率とかホームラン・ランキングとか調査し始めそうです(スコアブックまでやり始めそう……でもまあ、やりませんけどね)。
でもPC相手だと「こいつはいろいろ忖度する(PC側が意図的にPCチームのバッターに三振させたり、タッチアップ・ルール適用が変だったりする)」ので、パーソン対パーソンでデータを出さないとほんとの面白さ(特に投球術で相手バッターを攻略するみたいなの)は分かりませんねえ。
ネット上の異世界で勇者とか魔法使いとかになってパーティを組んで遊ぶというのは多くの人がやってますが、9人でパーティを組んでネット上の野球リーグ戦を戦うゲームなんてものはありませんからねえ、そういうものが生まれたら、面白いのになあ、と個人的には思いますよ。
YouTubeも含め、ブログも投稿滞ってますが、シュタイナーによると創造性は14日間隔で周期を繰り返すそうですよ。「やる気スイッチ」もそれに従って増減するんでしょうか。今の私はサインカーブを思い描いた場合、だいたいどのへんにいるんでしょうねえ。
ぼんやりしていると何も投稿せずに一か月が簡単に過ぎてしまうので、なんとか月に1本、欲を言えば2本くらいまではこんな具合に最低限更新しようと思ってますよ。
ということで、7月入ったら、今よく聞いてる音楽についてひさびさ投稿したいと思ってます。 -
前回の投稿からかなり時間があいちゃいましたけど(相変わらず『草野球』もやってます)、今回はひさびさPC関連の記事です。
私はこれまで、「小型のPCだったら、場所を取らなくて部屋がスッキリするから、いずれミニPCを手に入れたいなあ、でもそれはWindows10の更新サービスが終わる時期の話かなあ」と思って暮らしてました。
現在メインで使っているパソコンのOSはWindows10ですが、YouTubeとかNetflixとかアマゾンのプライムビデオとか、PCの用途として結局そういう方面での使い方が中心になっていて(つまりテレビ放送という娯楽の代替品です)、かつては頻繁に行っていた音楽CDやらDVDやらを「焼く」という作業もまったくやらなくなってしまいました。
もはや「ネットにアクセスできれば、それでいいじゃん」的世界に突入している人は、私同様たくさんいると思います。CDやDVDを利用するときは、外付け用光学ドライブを、その時だけつないで使えばいいし、そうじゃない大部分の時間は、そういう余計なものは仕舞っておいて、空間をすっきりと使いたいと思ってしまうじゃありませんか。
最近YouTubeで中国製のミニPC(GMKtec NucBox3)を紹介してる番組をたまたま見て、1万4千円程度で、Windows11 Proの入ったミニPCが手に入るという事実を知って、リンクをたどって、アマゾンの商品ページに飛ぶと、なんとちょうどこの時期、クーポンを使って購入すれば、さらに1200円分安く手に入ることを知って、中古マニアな私なのに、ひさびさ新品を衝動買いしてしまいました。
YouTubeでは、購入製品の認証や初期起動時においては、日本語キーボードが正しく動作せず`、@マークをshift+2の操作(英語キーボード式)で入力しなければならないこと、そしてファンレスゆえに高熱(CPUはアイドル時60°、高熱発散時80°以上)になるという「問題個所」に触れていなかったので(天板が熱いという感想はありましたね)、安さだけに気を取られて、アマゾンの評価ページを読むこともすっとばして買ってしまいました。
とはいえ、それら種々の問題クリア後の今現在、そのミニPCを使ってこのネット記事を書いてます。
認証問題では私の場合、HDMIで接続されているモニターが「認証?」されていなかったからなのか、候補としてあと2つDellとか、ほかのモニターの型番が出ていて、今使っているモニターを選択すると、それでちゃんと認証作業全体が終了しました。アマゾンのコメント欄では、「認証できなかった。連絡して再発行してもらった」というような報告は載っていますが、認証がモニター選択と関連するこの現象について報告している投稿者はいないみたいです。
@マークを日本語キーボード上で正しく打ち込めるようにする手順はネット上にも出てますので、難関ではありません。
NucBox3が、ファンレス構造であるがゆえの発熱問題は、冷却用ファンを付け加えることで解決できました。まあ、メーカーさんも普通に使えば筐体が高温になっていても大丈夫なような製品作りをしているんでしょうから、CPUを酷使するような使い方をしなければ気にしなくてもいい部分なのかもしれません。
私の場合、自宅にはいろんなPC関連のガラクタがとってあるので、段ボール箱のなかから必要な部品を取り出して組み立てるだけでOKでした。
まず最初に、このミニPCの底面の蓋をつけたまま、USB式の12cmのファンの上に乗せて試してみました。金属のファンガードは外し、メッシュ板を乗せ、ファンにはゴム足を取り付けています。PCケースの下部に風が当たる形にして様子を見てみると、ちゃんと温度は下がってくれたのですが、まだ下がり足りない気がしたので、蓋を外して、再度試してみるとかなり下がりました。
しかし下の蓋を開けた状態のPCケースを12cmファンの上に置くのは、メッシュのファンガードをつけたとしても安定感がないので、今度は14cmのファン(1000rpm)を使って同じように設置し直してみました。
それぞれファンの風の吹き出し側の向きを変えて、PCケース内の基板に向けて下から風を吹き付けて左右に開いているスリットから暖気が出るバージョンと左右のスリットから外気を取り入れてPCケース内部の熱を下方に吸い出すバージョンと2通りためしてみましたが、下方に吸い出す方が妙な風切り音がなく若干冷却効果が高かったたので(おおざっぱに見ればほぼ同じです)、私は「下方吸い出し式」でいこうと決めました。
以下、電源投入後30分間ネット閲覧した後のHardwareMonitorの表示画面です。
すごく冷えてます。そして長時間使っても、もはやケースの上面、天板部分はまったく熱くなりません。
そういうわけで、「結局いろいろ苦労したけど、この買い物は一応成功認定側かな」と思っております。
最終的にこれだと決めたセッティングでは、新たに買い足さなければならかったのは、3ピン式ファンをUSBに接続して利用できるようにする変換ケーブルのみでした。
今回利用したファンはもともと静音タイプのもの(12Vで回転数が1000rpm)でしたので、そのままの回転数で使うために12Vに昇圧するケーブルを使いましたが、高回転のものをUSBの5Vのままで利用するケーブルも売っています。この場合は回転数が下がる(静音化する)ので、自宅にある、使っていない高速ファンを低速ファンとして再利用したい人は、選択肢のひとつでしょう。
また初めからUSBケーブル式のファンを購入して使うのももちろんありです。この場合、比較的高速の(つまり騒々しい)ものが多いので、速度コントローラー付きのものか、あるいは速度コントローラーを別途手に入れる必要がありますね。ただ金属製のファンガードは邪魔になるので、水平を保てるメッシュ式のものなどに交換する必要があります。
最初に試みたUSB式12cmファンだとこんなふうな外見になります。
USB式ファン(12cm、2000rpm)にダイソーで買った植木鉢用のプラスチックのメッシュ板を若干ファンよりも幅広に切り取って乗せ、その上にNucBox3を乗せてます。後部に突き出ているのは、回転数を変えるためのコントローラーです。
冷却効果は14cmファン同様、上々だったのですが、安定感とデザイン性を重視して、結局14cmファンを使う形に落ち着きました。
今豊富に出回っているミニPCにはファン内蔵製品もあるようですが、性能はNucBox3よりも上でも、小径ファンを内蔵させてるがゆえにどうも音がうるさいようです。
それならば、私のように廉価なファンレスのミニPCを買って、あとから「静かな冷却ファン」を追加するというチョイスも大いにありでしょう。
というわけで、Window11の購入時期が想定より少し早まりましたというお話でした。 -
ある時、
Look for the grass field of your dreams . If you find it, something will come.....Maybe.
という声が聞こえた……というのはもちろん嘘であります。
しかし、最初に手に入れたダイソー版の『草野球』の球場フェンスの向こう側に現れた橋を見たとき、「この草野球場のある場所を突き止めたい」と思ったのは確かです。
俄然興味が湧いたので、その後、順に『草野球EX』そして初代『草野球』を手に入れた話はすでに書きました。
それぞれにおいて、ゲーム最初に現れる画像は、ダイソー版、EX版、初代版の順に以下のようなになります。
なんと、もともとの「草野球場」は河川敷ではなかったのでした。このような平坦な土地が日本で見られるとしたら、それは北海道以外ありえません。
関東にもこのような風景を見ることのできる場所が、あるいは存在するのかもしれませんが、そうだとしても、「私には見つけられそうにない」とすぐに思ってしまいました。
しかし一方で、実は、EX版には、のちにダイソー版で大フィーチャーされることになる河川敷野球場が出てくるのです。
初代版の野球場はひとつだけですが、EX版には二つの野球場が出てくるのでした。そしてその「新しく付け加えられた方の野球場」が、ダイソー版で展開されるゲームのメイン会場になったのです。
EX版の場合、たいていの場合は前回ユニフォーム話をしたときに見てもらった左側の野球場が現れます。ところが自陣をフォーチューン・ナンバーズ、幸福ケ丘商店街、エリオンズ・トラッカーズ・クラブズにしたときだけ、ダイソー版と同じ草野球場が現れる仕様に変っていたのでした。
そのときに流される鳴り物(トランペット)のメロディーもまた別バージョンのものになります。だからダイソー版で使われている球場と鳴り物効果音は、EXでは使用されなかった組み合わせでセットアップされている、ということになります。
ダイソー版に使われている写真を見てみましょう。
A
B
C
私はこの草野球場がどこなのか突き止めたいという衝動にかられました。
写真Aは橋桁のところに、化粧垂木のようなものが若干狭く2本、その間は広めに5本並んでいます。
写真Bでは2つの橋が写っています。奥の橋は斜めに進んでいますね。
写真Cではトラス構造(△▽△▽△)を持った鉄道橋が遠くに写っています。
私はこれらの情報は「使える」んじゃないかと思いました。
このような河川敷の野球場は東京にある、と仮定しました。そして多摩川か荒川か江戸川のどれかに付属する野球場だろうと思って調べ始めましたが、最初のうちは、検索してもはかばかしい写真に出会えませんでした。
二子山と聞けば、若い人たちはエヴァンゲリオンのドラマの展開地を最初に連想するでしょうが、私の場合は相撲部屋でした。調べると、二子山部屋は荒川と江戸川にはさまれた土地にあるじゃないですか。そういう見立てのうえで検索を始めた結果、多摩川河川敷をいろいろ眺めてみて最初に候補から外しました。だから、ということは、荒川か江戸川のどちらかだろうと思いました。
私は最初のうちは、荒川が有望だと思っていたんですが、うまく検索に想定していたような球場も橋も現れませんので、「じゃあ、江戸川」と思って検索すると、トラス構造の橋の下にある野球場の写真をいくつか見つけたので、「やっぱ江戸川河川敷かあ」と思ってちょっとだけうれしがっていたんですが、さらに検索を進めて江戸川にかかる16本の橋の写真をチェックしてみると、自分が思い浮かべている条件と合致する橋と野球場がないことに気づきました。
「もしかして東京にある川の河川敷野球場じゃないかもな。ああ、もうあきらめよう」と思って一旦は投げだしたんですが、後日、Googleの地図検索でもう一度挑んでみると「ここかもしれない」と思える一枚の写真に行き当たりました。右が四つ木橋の河川敷の写真です。左の写真に写っている川と土手を仕切る鉄パイプ製フェンスと同じものが、右の写真にも写っているじゃないですか。下の写真では、写真Aに出てくる化粧垂木のようなものが写っている橋の写真です。これがこれが突破口でした。
それでいろいろさらに調べて確信感覚を増やしていきました。でもこれ以上「写真の一致事例」を長々と語っても退屈でしょうから、最後に以下のような航空写真を見てもらって終わりにしたいと思います。
航空写真に書き込んだABCの矢印が写真を写した方向だと思います。
結論:ダイソーの『野球ゲーム52』において、選手たちがプレイしていたのは「墨田野球場A面」である。
私は九州住まいなので東京の地理ことはまったく分かりません。あれこれ苦心してやっと自分なりに納得できる結論には到達できましたが、実は「大きな勘違いだった」ということもありえますんで、ぬか喜びでなければいいなあとは思っています。
もし東京在住のかたで、荒川河川敷近辺にお住まいの方がいらっしゃったら、「私の見立て」が正しかったのかどうか、散歩で暇つぶしがてら、ご報告いただけたら幸いです。『草野球』ゲーム?、「うちのパソコンはWindows 10(or 11)64bit版だから、どうせインストールできないしなあ」、と思われた方、ご安心ください。三つともに、CDを開いて任意の場所にコピーしてしまえば、ちゃんと動いてくれます(11は未検証ですが)。Windows10 32bit版ならば、インストール自体が可能です。
ゲーム開始の最初の画面下部に出てくる「PRESS TRIG (A)BUTTON」という表記のAはキーボードのAではなく、ジョイパッド用語なので勘違いしないでください。初代とEXに出てくるSPACEの方はキーボードです。ピッチャーとして投げる球種は豊富ですよ。私はZ(つ)・X(き)・C(そ)と方向キー(初代版とEX版では、説明書はYGHJかテンキー8426の使用を勧めていましたが、ノートブック型はテンキー使えませんしねえ)を使ってましたが、Zを押して指を離し、ピッチャーが投げる前に、すかさず方向キーを長押しすれば、カーブ系、シュート系、速い球、普通の球、遅い球が投げ分けられます。球速も、コンマ〇〇秒の範囲で投手ごとに調整されているみたいです。
ダイソー版に登場する投手たちは球速の上では、下位の3人ということになります。一番の速球派はエリオンズのイーサンです。彼は打撃能力も最高ポイント者なので、今でいう大谷翔平的立ち位置にいる投手兼強打者です。
投げるときピッチャーが踏むべき有効な投手板の位置は(カーソルは左に6つ、右に6つくらい動きますが)実際には6つくらいはあるんじゃないでしょうか(すみません、検証不足なので今のところ断言できません)。5×球種5つ、あるいは6×球種5つで25種類、あるいは30種類くらいは投げ分けられるんじゃないかと思います。
6人の投手の投球速度とコントロール能力はそれぞれ異なってますので(直球を選んでもまっすぐ打者の足元に飛んでこない場合がある)、これに25種類、あるいは30種類(推定)の球種を合わせれば、それぞれ個性を持った投球になるようです。
速球キーとカーブキーの同時押しは有効か試してみたんですが、どうやら無効のようです。もしこれが可能だったら、球種はさらに増えることになったんですがねえ。
1P対2Pはダイソー版ではできませんが、/キーで開始して1P側を選び、次にZキー側で2P側を選ぶようにすれば対戦ゲームに入れます。ちなみに初代版『草野球』では、Zキー=/キーだったのですが、『草野球EX』ではキーアサインメントの再設定時に凡ミスをやらかしたらしく、/キーの右隣の左傾き直線キー(ろキー)がZキー、/キー=Xキーというふうにちぐはぐな状況になっています。「CDの説明書は誤りです」という趣旨の訂正文が添付されていた紙製の説明書に書いてありました。さて、「なぜ、STUDIO Sequenceは、EX版で河川敷野球場を付け加えたのか」そして「なぜダイソー版からイラストを〈完全排除〉したのか」という疑問が残っていますが、そろそろ考えるのにも疲れました。
ということで今回の一連の投稿は今回でひとまず終了したいと思います。
「ダイソー版からのイラストの完全排除」と書きましたが、実はそうではありません。宮大工が自分の名前が書かれたノミを屋根裏に残したり、小説『さんちき』みたいに、自分の名前を人目につかない場所に彫ったりする話があるように、ダイソー版のCDの説明書の最後の右隅に、以下のような絵が「私のことも忘れないで」と、小さい白黒画像で載せられています。
『草野球』というゲームを三部作として眺め直してみると、制作者たちのメッセージに満ちていますが、「そうだとは気づかれないように作られている」ところが、実に実に面白かったですねえ。