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BOUNDHEAD

明けましておめでとうございます
もはや正月の情緒なんてほとんど感じなくなった日本の21世紀ですが、せめて思い出の世界に浸っていようと、アマゾンプライムで東映の時代劇をたくさん見て過ごしてました。

月形龍之介が水戸黄門役の映画です。彼は、私が「現役の子供だった時代」にはすでにテレビドラマが主流になった「表の世界」で活躍することはなかったので、そもそも映画を見るまでは名前も存じ上げておりませんでした。

アマゾンプライムは定期的に東映の時代劇を無料公開しているので、実はだいぶ前に視聴していたのですが、また見ても面白い。今は無料公開されていませんが、次郎長三国志シリーズとかといっしょに見ましたよ。これもよかったですよ。





特にお気に入りが、「水戸黄門 天下の副将軍」であります。写真は、丘さとみの三味線にのせて、里見浩太郎が歌を歌い、東千代之介が踊る場面。ほんとここが好きでしてねえ。

時代劇の何がいいかって、町人たちの江戸弁の節回しがたっぷり聴けることで、昭和時代にはテレビでも時代劇はたくさん放送されていましたから、九州弁をしゃべっていた自分でしたが、「いいよなあ、江戸弁」と思ってドラマを見ておりました。

あと美術ですよね。さままざな日本家屋をたくさん見ることができますし、「床の間掛け軸生け花シリーズ」をかつて書いていた身としては、ほんといろいろ楽しませてもらいました。

カラー映像の質感も現在のようなデジタル撮影ではないですし、なによりも美術の細部がずっと丁寧だと感じました。中村錦之助の「丹下左膳」を見た後、豊川悦司の「丹下左膳」をみましたが、美術的にはあまりにもうそっぽい綺麗さでかえってげんなりしました。建物の全部が全部今建てたばかりですというような家屋の外装と内装映像で、これだけでもう嘘くさくて入っていけませんでした。

60年前後の東映時代劇は、なにか50年代の明るい米国ミュージカルの雰囲気さえ感じます。やっていることは、まったくミュージカルじゃないんですが、見ていると気持ちが明るくなるんですよね。今となっては見ることのできない舗装されていない街並みや街道、武家屋敷の庭、そんな数々のものがすべて鑑賞対象になるんですから、「ひとつぶで2度おいしい」(若い人には通じないセリフだな)どころの話じゃないんですね。

のちに銭形平次で有名になる若いころの大川橋蔵が隠密兼町人役で出てますが、すごくいい感じですよね。ウィンクまでしちゃうんですよ。彼が殿様役で登場する別タイトルの水戸黄門も見ましたが、武士たちの節回しは抑制的で町人的ではないので、こころアゲアゲモードにはなりませんでした。

やっぱり役者は江戸弁でまくし立てている時が、いちばんアゲアゲしていて、見てて気持ちいいですよ。





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