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Posted by バウンドヘッド - 2007.03.21,Wed

この体験はたぶん小学校5年生のときのことだったと思う。71年か72年頃の話である。私はランドセルをしょって、ひとりでてくてくと自宅へ帰っている最中だった。いつも通る勝手知ったる帰り道だった。でもその日は何かが微妙に違ってた。私はふと後ろに気配を感じたのである。振り返ってみた。40歳から50歳くらいに見える灰色のスーツ姿の男が私と同じ道を同じ方向へ歩いているのに気がついた。来た道も進行方向も、路上にはずっと向こうまで見渡しても私とその男だけしかいない。最初は「なんだ、大人の人か」と思って、またそのことは忘れ家路を普通にてくてくと歩き続けた。だが奇妙なことに気がついた。その灰色のスーツの男はそれからも一定の距離をおいてずっと私のあとを歩いてきたのである。私の心に「はっ」とする感覚がわき出た。私は少し不安を感じた、「あの男はボクのあとをついてきてるんじゃないか」と。ここからは私の家まで一本道、ずっと歩いていけばもうほとんど自宅だったが、「このまままっすぐに歩いていてはいけない」という感じがした。「そうだ、もうすぐMくんの家が見える」……私は幼なじみの4年生のMくんの家が目の前にあることに気がつくと、「あともう少し、あともう少し」と心に言い聞かせながら、動揺している様子を見せないようにして歩き続けた。いよいよMくんの家の前まできた。私はまるでそこが自分の家であるかのように何気ない様子で彼の家の門を入った。そして庭に入ると同時にダッと駆け出し、そのままMくんの庭の敷地をつっきって彼の家の裏手に回って物陰に隠れた。Mくんの家には誰もいないようであたりはしんとしていた。「男は行ってしまっただろうか」と、その物陰からそっとうかがうと、なんとその灰色のスーツの男が、この家の門を入ってくるところだったではないか。「ああっ、入ってきた!」(恐怖感がさらに増していく。)そして庭の中をうろつきまっている。それを見たときほど、怖かったことはない。「いったい、何の用でこの人はボクの後をついてきたのか。誘拐事件とかあるけど、ああ、こんなことってほんとにあるんだ」と思った。心臓がドキドキといっているのが聞こえた。

私はそれからたぶんMくんの家の裏手に30分くらいもじっと動かないで隠れていたと思う。長い長い時間が経過したと思った頃、私はもう一度物陰から顔を出して、男がいるかどうかを確認した。と、その灰色のスーツの男はいなくなっていた。Mくんの家は今ではめずらしくなってしまったが、立ち木の生け垣で囲まれていた家で、裏手も立ち木の生け垣になっていて、その木立の間から簡単に目の前の小さな路地に抜けることができる。このあたりは勝手知ったる小学生時代の私の遊び場だった。私は、そこからは脱兎のごとくに駆け出して、その路地のつきあたりを左に曲がってすぐに自分の家に駆け込んだ。とてつもなく怖い思いをしたが、なぜなんだろう、私は母にも家族の誰にもその日起きたことを話さなかった。自分には奇妙で不思議な体験だった。

40過ぎになって、マスコミで北朝鮮の拉致事件の話がひんぱんに取り沙汰され始めた頃、母に会ったときにテレビで拉致事件を扱っていた。私はそのとき初めてその拉致の話題のついでに「実はさ」ということで「今まで言わなかったけど、実はオレが5年生のときに、誘拐されそうになったことがあるんだ」と話した。「なんで男につけられたのかまったく分からないけど、もし運が悪かったら、オレこの世にいなかったかもしれないよ。あるいはそいつが北朝鮮関係者だったら北朝鮮にいたかもよ」と言ったら、「えー、ほんとねー」と驚いた顔をされた。小学生時代にもいくつか「トリビアル怪異」体験があるが、この体験もまた私のトラウマ体験となって今日にいたっている。皆さんにもこのような怖い体験はあるだろうか。

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イメージ図。実際の男はもっと歳とって見えました。

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バウンドヘッド
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男性
自己紹介:
一応ロックファンですが、でも実は70年代のアコギものLPもよく家で聴いてます。邦楽だと日暮しの『ありふれた出来事』、洋楽だとアメリカの『名前のない馬』が、私のイチオシ・アルバムです。
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