稲川淳二の怪談話を聞いてきて、いままで知らなかった事実を知りました。それは稲川淳二と逮捕される前の宮崎勤に暗闘があったということです。その詳細については『稲川淳二の怪談伝説!2』の「不思議なトンネル」というエピーソードで聞くことができますが、宮崎勤がそもそも幼女を殺さなければと思いついたのが、青梅の有名な心霊スポットであったトンネル----3種類ありますが、山の最上部にある使用されていない最古のトンネル----の中だったということです。実は宮崎勤は心霊スポット巡りをするのが大好きな心霊マニアだったのです。当然稲川淳二のファンだったそうです。
このトンネルの入り口近くにあった居酒屋で、昔、一家惨殺事件があり、祖父母と母親がまず殺され、それを見て、真夜中この真っ暗なトンネル逃げ込んだ幼女を、犯人の男が追いかけ、この子の頭にナタを振るって殺すという事件があったそうです。
宮崎勤によって出され、警察に届いた今田勇子名義の手紙の中には実は稲川淳二を意識して----稲川淳二宛てと言っても良い----書かれたものがあったそうで、警察がそれを持ってきて「どうしますか、稲川さん」と対処の仕方を相談したそうです。「もしあなたの家族に危険が生ずるといけませんから、警察が奥さんとお子さんを保護したいと思いますが」と提案されたそうですが、稲川淳二はその申し出を断り、その当時レギュラーで出ていた朝の番組で宮崎勤の手紙に対して対決姿勢を見せたそうです。その後、宮崎勤は逮捕されたとき、再びこの心霊トンネルに逃げ込み、逮捕されるまで真っ暗なそのトンネルの中央部にじっとうずくまっていたそうです。
稲川淳二は「宮崎勤の犯罪を弁護しようと思ってこのような怪談を語っているのではないですよ、犯罪は犯罪で、罰せられなければなりません、でも……」と語ります。つまり稲川淳二は「憑依」ということを言いたかったわけです。悪霊の憑依現象の謎解きについてはスウェデンボルグの『続霊界からの手記』なんぞを読むと詳しく出てきますが、そういうものがあったのだという暗示として怪談話を語っておりました。
この幼女殺人の心霊エピソードは『新耳袋 第三夜』第九十九話「たちけて」にも出てきます。例の青梅の心霊トンネルのある山の林の中から「たちけて」という幼女の声が聞こえてくる、それは宮崎勤に殺された幼女の声なのではないかという噂話が流れているという話です。「ばぶばぶばぶ」とか幼児語を使って子どもに話しかける大人がいますが、3、4歳の幼児の言語感覚は大人よりもずっと健全です。3、4歳の子どもが「ばぶばぶ系」の「幼児言葉」を話すとは思われません。もし助けを呼ぶなら「たちけて」ではなく大声でちゃんと「助けて」と叫ぶはずです。ですから、この噂話には「大人から見た幼児感覚」という作り事が紛れ込んでいる可能性もありますが、この山林から手足を切断され裸で埋められていた幼女の死体が見つかったのは事実です。ですから私はこの「たちけて」というエピソードを読むと、宮崎勤から殺されようとしていた瞬間のあの幼女の恐怖感を思い、なにか我慢できないものがこみ上げてきます。そしてその感覚が寝るまで一日中ずっと忘れられずに続きます。
この宮崎勤の事件からもうずいぶんと時間が経ってしまいましたが、ご紹介した『稲川淳二の怪談伝説!2』という怪談集DVDは、あの当時の事件報道には登場しなかった稲川淳二関連の情報を稲川淳二本人から聞くことができる貴重な事件資料でもあります。興味をお感じになった方は是非一度レンタル店に出向いて借りて聞いてみてください。
なお宮崎勤を扱っているサイトのURLをひとつ、以下に紹介しておきます。犯行声明文や一般の人が宮崎勤に宛てた質問に直筆の言葉で答えている回答文を見ることができます。
http://www.tctv.ne.jp/members/nisijima/keimusyo/miyazaki.html
こちらは「不思議なトンネル」における稲川淳二の発言を活字に起こしたものが載っています。
http://www.geocities.jp/tdtqg860/miyazaki1.html
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コメント
1. どこまで本当なのか・・
2. なるほど
3. 無題
3歳になれば、すべての音が発音できるわけではありません。発音は5歳ごろまで徐々に発達していくものだと考えてください。
4. 「でちゅでちゅ」言葉
ただ「本当の幼児言葉」と「大人が幼児に偽装した言葉」は一致しないってことを指摘しただけですよ。「たちけて」は、いかにも、
大人の側が、幼児ってそういうふうに話すんじゃないかと空想しそうな言葉
じゃないのか、って言う指摘ですね、私が言ってるのは。
「たちけて」という「音」に、非常に違和感を感じたので、「ひとつの可能性」として、ああいう指摘をしたまでのことですよ。