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BOUNDHEAD

階段を降りてくる女

宮崎市にいた20代の頃の違和感体験、どうしても「あれは何だったんだろうか」とことあるごとに思い出し忘れることができない一瞬の体験がもう一つあります。南宮崎駅の階段を駅舎内に向かって登っている最中の出来事なので、まだ車を持っていない時期の話です。当時私は、地元の延岡市に帰るときは列車を使っていたからです。

私は駅の階段を登っているところでした。たぶん夕方のラッシュ時で、といっても田舎の駅ですから数はしれているのですが、それでもかなりな数の集団が列車から吐き出されたあと、駅の広場へ向けてかたまりになって階段を一斉に降りてきました。

私は駅舎内部へ向かう組でしたが、上へ向けて登っている人はごく少なかったと思います。降りてくる人々と体が触れ合うほどに混み合っていました。私は何気なく前からやってくる女性に目を上げました。するとその人の顔の左半分はただれ果てていて、色はまるでくすんだ青いメタリック色をしており、その部分全体をなにかこうぶつぶつとふくれあがったものが覆い尽くしていました。

ものすごいショックを感じました。彼女の周りの人々はごく普通に降りてくるし、私はこの衝撃の意味を後ろから登ってくる他人の顔を見ることで確かめようと、私の後に続いて登ってくる登り組の人々を振り返ってみたのですが、皆すれちがっているハズなのに、知らん顔をしています。「あ、自分だけがショックで頭がぐるぐるしてるのか。なんでこうみんな平気なんだろう」と思いました。というより、誰もいちいちすれ違う相手の顔なんぞ見ないのかもしれませんが、私は見てしまったんです。

metalwoman.jpg
















イメージ図。乗降客とともに階段を降りてくる女図
(すんません。まったく似てません。本当はこんなんじゃなかったです。)

そしてそのものすごい顔の様子にどきどきしながら、こういう場合の受け止め方として正しいと思った道徳感覚に回帰して「この女の人は顔を隠さずにこの姿で列車に乗って降りてきたんだ。なんて勇気のある人だろう」と思いました。この体験はあまりにも強烈だったので、あとで「あのな、南宮崎駅で、こういう女の人とすれちがったんだよ。でも驚いているのは、なんかオレだけで、非常に不思議な感じがした」というようなことを友人の家に行ったときに話ました。「へー、そんな人が。気の毒になあ」とその友人は感想を述べました。

でも私はどうしてもあの顔が忘れらません。その顔は、そのメタリックな青い皮膚と浮き上がったぶつぶつは、どこか本物とは思われず、なにかこう映画かなにか用にほどこした特殊メイクのような感じがして、いまだにその感じが払拭できません。「特殊メイクをほどこして歩き回っている女の人がいた」そう思うほうが、私にはどこか心が合理化できるというか安心できるというか、いまでもそんな感じです。掲げたイメージ図ですが、実は、はっきりしません。大きくて丸い顔だったような気がします。その女の人は実際には人込みに紛れ込んだ姿で、表情なくうつむいて降りてきたので、こんなに「自己主張的な姿」で私の視界に映り込んだわけではないんですが、一瞬のすれ違いの合間に、私がたまたまその人の顔を見たということなんです。私は画面の左側下から階段を登って彼女とすれ違ったんです。 

この南宮崎駅の前を走る道が、私がブログで言及した片側2車線道路です。「国道に寝ころがる男」は、この駅のすぐ向こう側の道路で寝ころがっていました。そしてその先の交差点を右に曲がると「遮断機心中未遂の男女」を見た路地に入ります。当時の南宮崎駅前周辺は私にとって怪異に満ちた場所だったんだなあと、今あれこれ思い出してみて改めて思いました。ただ思い出すたびに最後にはふと、「あれらは本当は、生身の人間との遭遇だったのだろうか、自分は普通だったら見えないものを見ちゃったのかもしれない」などと思ったりもするのであります。

オマケ

070307_1830~01.JPG
















私の家の柱には「ゆうれい ゆうれい」と書いたひっかき傷のようなものがあると、昔書きました。以下参照URL.

http://www.nobeokan.com/hyakumonogatari.htm

現在私は、その柱の前に電話を置き、その隣にパソコンをおいてます。顔を上げればいつでも、「ゆうれい」の「ゆ」の文字を見ることができます(写真をクリックして確認してね)。以前の公開写真は以下。

yureiyurei.jpg
















やらせではなく、ほんとに気がつくとそこに刻んであった文字であります。(写真、よく見ると『ダーク・エンジェル』ファースト・シーズンのパンフレットが見えたりしているところが、ちと恥ずかしかったりします(でもジェシカ・アルバっていい女ですよね)。張り出し窓にあるあれこれの小物類と、つってあるズボンが生活臭。

まだまだ「トリビアル怪異」体験はありますが、ひとまずこのシリーズはおしまいにします。ここって「音楽ブログ」でした。

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