この体験は、私が就職して2年目に出会った「奇妙な体験」です。私は当時トールボーイというキャッチコピーで宣伝されていた普及版タイプ(ターボじゃないやつ)のホンダ・シティ(白ボディー)の中古車を買って通勤するようになっていました。
それは、私が職場からの帰宅途中の夜のことでした。夜の11時前だったと思います。そのとき車は私以外走っておりませんでした。前回のエントリーにも出てきた片側2車線道路を走っていると、車のライトに照らされた道路正面の向こうに、大きくて黒い固まりのようなものが転がっているような気がしましたので、「何だろう?」と私はブレーキを踏んで減速しながら、ゆっくりと車を近づけていきました。
するとライトの明かりに照らしだされたその黒い物体とは、なんと「黒い服を着て仰向けに寝ころがっている男」だったんです。
「わっ、何で人が道路の上に寝ころがってんだ」と思いながら私はさらなる減速と同時に、左側車線へと車線変更をしました。そして、その寝ころがっている男の姿を車の窓越しに観察しながら通り過ぎ、次にサイドミラーで後ろの様子をちらちらと確認しながら運転していると、なんといままでそこでじっと動かなかった男がむっくりと起き上がり、さらに中央分離帯を横切って反対側車線へとスタスタと歩いていった模様です。おそらくそのまま路地に入って住宅地に消えていったに違いありません。(でももし男が起き上がらなかったらきっと車を止めて、その男が生きてるかどうか確認に戻り、同時に道路から退避させたと思いますよ、「踏み切り心中未遂事件」ではショックで固まってしまった薄情なワタシではありますが。)
遠くから見た姿が黒く見えていたのは、その男の衣装が黒ずくめだったからです。本物かニセモノかわかりませんが、黒革のレザータイプの上着に黒いズボン姿だったと思います。
「ふー危ねえ。あいつ、自分を誰かにひき殺してもらおうと思ってアスファルトの上に寝ころがっていたんだろうか。でも何でオレなんだよ」と思いながら、その夜は、いつもにもまして細心の注意を払って自宅へとたどりつきました。
「国道寝ころがり男自殺説」というのは、そのときの私なりの合理化説なので、その黒ずくめの男はいったい何のために、そんなところに寝ころがっていたのかほんとのところは分かりません。あるいは酔っぱらって、たまたま道路の真ん中をベッドだと思い違いして寝ころんでしまっただけなのかもしれませんが。でも私がよけるとすぐに、むくりと起き上がってスタスタとよそへ移動したのが妙です。
でも「なかなか出会えない経験をさせてもらったな」とあとになって思いました。
(以下イメージ図。画面上をクリックして拡大してご覧ください。過去に投稿したイメージ図同様、windowsのペイント機能を使って描いております。はなはだつたないです。)
コメント