「ネットの海は広大だ」とは「ゴースト・イン・ザ・シェル」の草薙素子のセリフだが、ネット上に無数に散らばっているアマチュアやインディーズの音楽作品をひとつひとつ丁寧にチェックするなど不可能である。私が音楽業界の人間で、給料という代価をもらってほぼ一日をまるまる未知のアーティストの発掘のためのネットサーフィンに費やせるなら、私は365日、それを嬉々としてやるかもしれないが、そのような振る舞いを仕事にしていない私を含めた普通の音楽好きたちにとっては、ほぼ「偶然」にたよるしか「発見の機会」はない。未知の音源探索に割ける時間が非常に限られているからである。
ひさびさNEXT MUSICのサイトを訪れて、アンビエント系のカテゴリーをなにげなくクリックしてまわったら、ひとつだけ心にひっかかったアーティストを見つけた。
matryoshka(マトリョーシカ)である。
覚醒状態から入眠状態へ移行する「まどろみ」という第三の意識状態を刺激するような不思議な感覚がある。マトリョーシカを聴いていると、頭から幽体がずれ、そのずれのはざまのなかに何か言葉にできない「感覚・感情イメージ」のようなものが現れるような錯覚をしてしまう。あるいは聴きながらそのまま意識不明になってしまい、そのまま黄泉の国へ行ってしまうとしたら、さぞ気持ちがいいかなあというような感覚。映画「ソイレント・グリーン」では安楽死センターに行った老人が希望して流してもらった楽曲はベートーベンの「田園」だったが、私ならマトリョーシカにしてもらおうかと思う。ひょっとすると、幽界から迎えにきた美しく輝く死の天使が臨死イメージのなかに紛れ込んでくるかもしれない。マトリョーシカが提示したものは、私にとって「お迎えの音楽」なのだ。
私は最初NEXT MUSIC版を上から順番にダウンロードしてCD-Rに焼いて聴いていた。(ただし「Evening Gleam Between Clouds」はmp3データにバグがあるのか、CD-Rに焼くと無音状態になるのでご注意ください。マトリョーシカのオフィシャルサイトに置いてある方は大丈夫でした。)
NEXT MUSIC版は、ボーカルの発音の輪郭がぼやけていて、私にはどこか外の話し声を家の中で聴いているような、あるいは壁を隔てて向こう側から聴こえてくるつぶやき声のようなそんな気がした。あるいは「幽界から聴こえてくる声もこのように音像がぼやけているのだろうか」とも連想した。私はこのはっきりと聞き取れない歌声を好ましく思ってしまったのだった。
私は改めてマトリョーシカのオフィシャルサイトに飛んで、公開されている音楽データをダウンロードし、掲示されている「zatoracenie」の曲順の通りにCD-Rに焼き直して聴いてみた。すると印象がまるで変わり、最初は違うアルバムを聴いているのかと錯覚してしまった。「幽界感覚」が若干弱まって聴こえたのだった。
私のお勧めはオフィシャルサイト版のデータを使ったCD-Rではなく、NEXT MUSIC版を使って最新公開順通りに上から10曲----ただしバグのある「Evening Gleam Between Clouds」は除いて----CD-Rに焼いてヘビーローテーションで聴くことである。やはり「Monotonous Purgatory」(題名の意味はウェブの翻訳機能などを使ってご確認ください)----これは、昔バーバーの「弦楽のためのアダージョ」を聴いたときに感じたのと同様の、ズンと落ち込むようなモチーフを持つ楽曲なのだ----から聴き始めるべきでしょう。以下の順である。
01Monotonous Purgatory
02Gentle Afternoon
03Oblivion
04Hallucinatory Halo
05Viridian
06February Lifesaver
07Anesthetic
08Slowsnow
09Beyond
10Sink Into The Sin
オフィシャルサイト版とNEXT MUSIC版はアレンジと音像に微妙な違いがある。変な話だが、私はぼやけて聴こえるNEXT MUSIC版の方がなぜか好きである。
最近はperfume以外には新しくヘビーローテションの仲間入りはしなかったので、昔の音源ばかり聴いていたのだった----perfumeは、あの「正三角の陣形の中で演じられるロータリーダンス」を見るのが好きだ。perfumeはもっと振付師の功績に注目すべきでしょう、中田ヤスタカさんのほかにも----、マトリョーシカの発見はうれしい偶然だった。
ひさびさNEXT MUSICのサイトを訪れて、アンビエント系のカテゴリーをなにげなくクリックしてまわったら、ひとつだけ心にひっかかったアーティストを見つけた。
matryoshka(マトリョーシカ)である。
覚醒状態から入眠状態へ移行する「まどろみ」という第三の意識状態を刺激するような不思議な感覚がある。マトリョーシカを聴いていると、頭から幽体がずれ、そのずれのはざまのなかに何か言葉にできない「感覚・感情イメージ」のようなものが現れるような錯覚をしてしまう。あるいは聴きながらそのまま意識不明になってしまい、そのまま黄泉の国へ行ってしまうとしたら、さぞ気持ちがいいかなあというような感覚。映画「ソイレント・グリーン」では安楽死センターに行った老人が希望して流してもらった楽曲はベートーベンの「田園」だったが、私ならマトリョーシカにしてもらおうかと思う。ひょっとすると、幽界から迎えにきた美しく輝く死の天使が臨死イメージのなかに紛れ込んでくるかもしれない。マトリョーシカが提示したものは、私にとって「お迎えの音楽」なのだ。
私は最初NEXT MUSIC版を上から順番にダウンロードしてCD-Rに焼いて聴いていた。(ただし「Evening Gleam Between Clouds」はmp3データにバグがあるのか、CD-Rに焼くと無音状態になるのでご注意ください。マトリョーシカのオフィシャルサイトに置いてある方は大丈夫でした。)
NEXT MUSIC版は、ボーカルの発音の輪郭がぼやけていて、私にはどこか外の話し声を家の中で聴いているような、あるいは壁を隔てて向こう側から聴こえてくるつぶやき声のようなそんな気がした。あるいは「幽界から聴こえてくる声もこのように音像がぼやけているのだろうか」とも連想した。私はこのはっきりと聞き取れない歌声を好ましく思ってしまったのだった。
私は改めてマトリョーシカのオフィシャルサイトに飛んで、公開されている音楽データをダウンロードし、掲示されている「zatoracenie」の曲順の通りにCD-Rに焼き直して聴いてみた。すると印象がまるで変わり、最初は違うアルバムを聴いているのかと錯覚してしまった。「幽界感覚」が若干弱まって聴こえたのだった。
私のお勧めはオフィシャルサイト版のデータを使ったCD-Rではなく、NEXT MUSIC版を使って最新公開順通りに上から10曲----ただしバグのある「Evening Gleam Between Clouds」は除いて----CD-Rに焼いてヘビーローテーションで聴くことである。やはり「Monotonous Purgatory」(題名の意味はウェブの翻訳機能などを使ってご確認ください)----これは、昔バーバーの「弦楽のためのアダージョ」を聴いたときに感じたのと同様の、ズンと落ち込むようなモチーフを持つ楽曲なのだ----から聴き始めるべきでしょう。以下の順である。
01Monotonous Purgatory
02Gentle Afternoon
03Oblivion
04Hallucinatory Halo
05Viridian
06February Lifesaver
07Anesthetic
08Slowsnow
09Beyond
10Sink Into The Sin
オフィシャルサイト版とNEXT MUSIC版はアレンジと音像に微妙な違いがある。変な話だが、私はぼやけて聴こえるNEXT MUSIC版の方がなぜか好きである。
最近はperfume以外には新しくヘビーローテションの仲間入りはしなかったので、昔の音源ばかり聴いていたのだった----perfumeは、あの「正三角の陣形の中で演じられるロータリーダンス」を見るのが好きだ。perfumeはもっと振付師の功績に注目すべきでしょう、中田ヤスタカさんのほかにも----、マトリョーシカの発見はうれしい偶然だった。
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コメント
1. 無題
なんか憂鬱とは違ったへんな感覚に襲われる曲。約3年前の記事ですね 私、今このアーティストを発掘したところです
勝手ながらリンクに登録させていただきました、拒否あれば即削除します また、ちょくちょく訪問させていただきますよろしく。
2. nextmusicのリンク切れ