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東京女子流(その2) 「キラリ☆」 2秒間の磁力線
ということで、今回はいつものようなp.s.方式で前回の記事を補足していくと、記事が長くなりそうなので、異例なことだが、別枠でもう一本記事を投下させていただく。

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 「キラリ☆」の2:07~2:08というほんの2秒ほどの間に出てくるセンターの新井ひとみの「頭の動かし方」がものすごく面白い。

彼女だけがカメラ目線で顎の先を重心移動に合わせてヒョイヒョイヒョイ、ヒョイヒョイヒョイと動かしているんだが、なんかその「見る者の無意識な視線をそこに集める力」というか、おそらく初めてこのPVを全体的にぼんやりと眺めていた者も、このシーンを通りすぎたのち「アレ?、何か不思議な感覚が通りすぎた。なんだろう?」ってモヤモヤ感に襲われたはず。

で、その疑問を解くために改めてよーく観察して見ると、新井ひとみが「中心から磁力線を出すダンス」をしていたことに気づかされるという寸法だった。いやーすごい2秒間だ。ということで、ここ何度も見直しました。みんなも、この2秒間の面白さに気がついてほしいな。そしてこの「人間の肢体が日常とはまったく異なった動きの組み合わせをするときに生まれる力」に----つまりダンスにだね----ノックアウトされてください。

「鼓動の秘密」のイントロ部分の円陣形でくるくる回る動き方が面白いよね。最後はあの動きで列を作るんだよ(振付師誰なの、すげー斬新だよ)。映像的には画像からコマ抜きする手法を使っているけど、これは人形的な動きを強調するために撮影編集側からフォローしてるんだろうね。エンディングの音を聴いたらperfumeの「シークレット・シークレット」のPVを思い出したけど、(オレがエルゴプラクシーのピノちゃんを使ってフェイク図作った曲ね)、この曲も人形のモチーフでできてるし、なんか秘密のレスポンス動画的な隠し意図さえ感じたんだけど、実際はまったくもとネタとして意識されてないのかな?

「YMCK REMIXバージョン」も、音楽、アニメーションともに、とてもかわゆーくて面白い。 「ヒマワリと星屑」のイントロ部でのエアーギター・シーンの振り付けも斬新。いやー、ほんといいわー。アルバム全編「本物のギター奏者」は土方隆行さんっていう話だけど、やっぱ「その1」で書いた通り、「あの時代」から音楽ルーツをひっぱってきてるってことだよねえ(土方さんって、まさに吉田美奈子のギタリストだったからねえ)。ということで吉田美奈子の「TOWN」参考音源にはっときます。




子供時代の美空ひばりが「子供のくせに大人の歌を歌うなんてけしからん」と審査員の先生だかにたしなめられたエピソードが伝わっているけど、それはおもに「歌詞の内容」と照らし合わせて出てきた当時(昭和)の大人たちの倫理感から出てきた言葉だろうけど、もはや「子供が大人の歌を歌うな」などとたしなめる大人は絶滅している(それがいいことなのか、悪いことなのか、ほんとのところ判断に迷うところだけど)。

「Liar」とか「Limited addiction」とか見ると、江戸時代の角兵衛獅子の子供たちに大人たちから寄せられたような、ある種の感情も沸き上がってくる。そこにはアクロバット技術に対する称賛の隣に憐憫の情もあるのだ。オレが角兵衛獅子的感情を感じるのは「歌詞」ではなく「振り付け」に対するものだ。

あの年頃の娘には似合わない振り付けを、まるで「ささ、みな殿方を喜ばせるために踊るのよ」と歓楽街を牛耳るオーナー・マダムに命令され、「でも、がんばって踊っている幼い踊り子たち」を見るごとくに、目頭熱くせずには見られないという、ごくごくかすかに感じる感情が、やはりオッサンやオバサンたちには幾分なりとも沸き上がってくることもあるんじゃないだろーか。まあそんな微妙な感情も彼女たちが少女時代を卒業するまでの話だが。彼女たちが「薄くて軽い身体」を手放す時期がきたら、もはや角兵衛獅子的感情はやってこないだろうからねえ。ってことはこれらはある意味「貴重なPV」なんだよな。

ということで「ほんとにエロくて大人な音楽のPV」とは、かくあるべしということでここでも参考PVを紹介しておこう。オレのお気に入りアルバム、R.ケリーの「12play」からサザンオールスターズの歌の歌詞も吹っ飛んじまうくらいに「これはヒドイ!」、けどカッコいい「Bump n' Grind 」




エイベックスさんも「大きなお友だち」向けに、いたいけな娘たちにあんまりむたいなことさせるんじゃないよ、というような「お父さん目線」の釘刺しを行って本稿は終わりにする。がんばるんだよ、娘たち。
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